summer,2016

新米映写技師になる。嬉しい。35mmフィルムを上映してみたい。映写室にはロマンがぱんぱんに詰まっていて、映画の神様たちが朝の遅延した時の中央線ぐらいぎゅうぎゅうに居る。駅員さんが押してる。そこに失礼しゃす、という感じだから、脚本を書いている自分にとっては映画の神様たちに四方八方から監視されているこの状態では嘘がつけない最高の環境、楽しみ。愛されたい。映写の人はみんなタバコ吸うから僕もタバコを吸ってみたい。でも二十三歳から吸い始めるの変だ。一番変だ。あとあいつ一箱で文庫本一冊買えるのおかしい。そのシーソーも変だ。保留。



シネマイレージカードを作る時、本人確認のためにスタッフさんが「お名前フルネームでお願い致します」と言ってきた。個人情報を他のお客さんに聞かれたらダメだからていう部分まで気遣ってくれてて、「耳打ちしてね」的な動作をされて、自分のフルネームを耳打ちしたけど、自分の名前を耳打ちするという行為が途端にドスケベすぎるものに思えてあたふたした。『ペット』は良い映画だった。

人が野良猫を蹴った時、「うわ!好きだ!」と思ってしまう。でもそれは野良猫を蹴ったから好きなのか、もともと好きな人が野良猫を蹴ったからそれが「好き」を自覚するスイッチになっただけなのか、自分でもわからない。でも両者で意味が全然違う。「野良猫を蹴るんだったら誰でも好きになるのか」て聞かれたら多分違うし、こんな具体的なシチュエーションにも関わらず系統立てて考えることができないのが凄い。何がどうなっとるんや。六畳一間の部屋で友達と眠らずに正解がない問題についてずっとグダグダと話をして、お酒も若干抜けてきて、でも明日も朝からバイトで、みたいな状態のことを「沼」と呼んでいる。沼にハマる快感は、自意識を破壊している自意識というか、ちいちゃい反抗というか、小規模ながらに命を粗末に扱う美学、でも小規模であることにも自覚的だから、「だせえな」て責めてくる自意識もおるし、それも込みで「沼」。何かを渇望してるんだけどそれが一体なんなのかわからないまま、あの人が野良猫蹴るの見たいんだけど、とか話す。俺たちはいつだってあの人が野良猫蹴るのが見たい。
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立つ鳥跡の濁し方アーティスティック

ジョン・ライドンとか町田さんとかヒロトはまず自分に対してパンクだな、何よりも先にまず自分を破壊しているからああいうユートピアを創造できるんじゃないのだろうか」と十四の夏に考えとけよ、な事を二十三の夏にぼーっと思って、ほぼ二徹して友達と明大前でお酒を飲んだ。自分に対する破壊行動が「四十八時間寝ない」という時点でもう間違っているし、実際はただ寝つけなかっただけだし、結局ウーロン茶ばっか飲んでたし、相変わらず反吐です。



他人が本心言う瞬間って脳が瞬時に理解するというか、「あ、この人今から本当に思ってること言うな」とか「自分にとって核心突いてること言ってくるな」とか、割とすぐわかる。多分デフォルトで人間はそもそも洞察力が高めに設定されている。
ファミレスであんみつ食ってたら、「中学の時の話なんだけど……」て話の切り出し方をされて、その言い方とか視線で「あ。来る。」と思った。
露骨に、便器に顔突っ込まされるみたいなイジメを受けてた女の子が同じクラスにいて、イジメる側には主犯格のギャルがいて、その主犯格のギャルと付き合って、イジメやめさせて、でもイジメ受けてた女の子が不登校になっちゃったから謝りに行かせたらイジメられてた女の子学校来るようになって、その瞬間そのギャル振った。っていう話をファミレス特有の尖りまくった機械的な甘さのあんみつ食いながら聞いていた。セミが爆音で鳴いていた。
その話を聞いて僕は凄い嬉しかったというか、こういう話をしたあとに「え、だから何?」みたいな事言う人いたら凄い嫌だなと思った。
「凄いですね……」て言った。なんか本当に凄いと思ったから。結局ペラいリアクションになってしまったけど、嘘くさくなってなかったらいいな、という祈りを込めて。なんか本当に凄いと思ったから。「え、だから何?」って聞いてくる人たちの方がなんにも知らないよな、と思った。人生の機微を言語化する事を諦めてるくせに結果を求めないでほしい。オチのない話したっていいじゃん。多分もうつまんないよそういうの。



寝つきが悪い。真っ暗の部屋で瞳をとじて君を描くよそれだけでいいたとえ季節が僕の心を置き去りにしても全然眠れない。ああ、平井堅はこの事を言ってたんだな、と感心した。
今はもう五時だけど、いつ寝るんだろう。
ノラ・ジョーンズの新しいアルバムが楽しみだけど、また武道館でライブをやってほしかった。前のアルバムから四年待ったから、次日本でライブやるとしたら早くてもまた四年後ぐらいでしょう、そしたら八年待つことになる。その時には二十七歳だから死んでいるかもしれない。
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インロウタキンは昔からあって実は良くないが頭の上

季節の変わり目だからブタみたいなフケが止まらない。
哲学おもしろ批評おじさんこと小林秀雄の全集がブックオフでセール棚みたいなところで売られてたから「めずらし」と思って買った。おもしろい。小林秀雄 a.k.a 哲学おもしろ批評おじさん

よく行く純喫茶に、丸メガネかけた赤いショートカットの背高い美しいお姉さんがいて、その人はメシ作り専門っぽい感じだからお会計の時にしか近付くことができない。そもそも人と目を合わすことがだいぶ苦手で、しかも女の人となると未だに気絶しそうになりますが、なんかそういうの単純に勿体無いわよと思って、お会計の度にずーーーっと至近距離で見つめまくっている。最悪人間。ゴミ。失礼。至近距離で見つめて「綺麗だ〜〜〜」て思って家帰る。家帰って寝てる。最悪人間。ゴミ。失礼。



『考えるヒント』『ポトスライムの舟』『桜の森の満開の下』『予告された殺人の記録』を読んだ。読みながら頭ポリポリ掻いて紙の溝にブタみたいなフケを植えつけていった。DNAの標本。自分の両親も、設楽さんも、二十六歳で結婚している。もうすぐ二十三歳になる。三年後に結婚できるわけがない、と思っている。夕方になると忍たま乱太郎見たくなるし、ポケモングリーンバージョンたまにやっちゃうし、いい感じに手にフィットしそうな長めの棒落ちてたら持って帰りたくなるし、「誰が一番ゆっくり家まで帰れるかバトルやろうぜ」て言って “誰が一番ゆっくり家まで帰れるかバトル” を開催しようとするし、氷結で泥酔しちゃうし、ATMには6000円も入っていない。



あの中産階級のガキどもをぶちのめすために東京に来て、五年が経ちそうで、就活には全部失敗したけど友達はできた。やりたいことも明確にある。むしろ就職しなくて良かったと思えている。もともと最悪人間として産まれてきたんだから、クズんなってGO、やりたいことやるべきだ、とかありきたりなこと言ってしまうぐらい実は色んなことはシンプルに構造されているのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それ当たり前。逃げんな。殴るぞ。
色んな人と、スーサイド・スクワッド観ようね、という約束を交わしすぎてスーサイド・スクワッドの多重債務者になっている。ストップ、映画泥棒。どぼろう。

『山河ノスタルジア』と『ブルックリン』をぶちこんだ。後ろに座ってたおじさんが二時間ひたすらビニール袋をガサガサ鳴らすビニール袋大好きおじさんで、もう僕もビニール袋ガサガサ鳴らしてスクリーン中をビニール袋ガサガサでいっぱいにして全員を幸せにしてあげようかな、と思ったけど手元にビニール袋がなかった。

高山一実ちゃんと付き合って、俺の前では『死にたい死にたい仕事行きたくないもう全部やめる死にたい』て言ってほしいんすよ〜」て話したら「……あ〜…」て言われて、全てを虚無に還してしまった。でももうこういうのにも慣れてきた。

その日暮らしみたいな生活をしていて、夜寝る時もギリ生き残ったな〜みたいな感じで寝て、生来の不安神経と病的な思慮深さのせいで三時間おきぐらいに目が覚めて、また働いて、また寝て、みたいな、ただの全自動生命維持装置状態です。

2016年上半期にハマったものは、
・フリースタイルラップ
・無調整豆乳
のよっつでした。夕立はテンション上がる。スーサイド・スクワッドをはやく観たい。

友達が津村記久子さんの『君は永遠にそいつらより若い』という本を貸してくれた。昔から本屋で見かけるたびに「タイトルのセンス半端ない本あるな〜」と思いながらも未読で、その話をしたら貸してくれた。

読んでる時にずっと死んだ友達のことを考えていた。
マイルス・デイヴィスブルーハーツウイスキーと野球が好きな人だった。
葬式でマイルス・デイヴィスの曲が流れてて、「あ、マイルスだ、俺まだ良さわかんないんだよな〜、そういえばマキちゃんは好きだよな〜、マキちゃんにどこがいいのか聞いてみよ」と思ったら、マキちゃんの葬式の最中だった。その瞬間、あれ、ってなって、そのあれっが未だに続いている。
「会話」という瞬発力が問われまくるスポーツが昔から苦手で、多分マキちゃんと毎日のように一緒にいた数年間、自分は本当のことを何も言えてなかった気がする。



最近annkwをよく聴いている。若林さんが昔のネタ帳を見返したら、「枯渇」と題されたネタ帳が出てきて、「あと100回舞台に立ったらやめる」て書いてあって、100から0へとカウントダウンしてるんだけど、そのカウントダウンがマイナス24までいってた、っていう話が大好き。
あと、高校のアメフトの試合を観に行って熱くなっちゃったやつ。

ラジオはおもしろすぎるから依存しないように、距離を十分にとって、という感じになっている。ファッキンブルシット夏来る。

4月15日

弱視の人に右腕を貸しながら新宿の道案内していたら、「シチューのにおいがしますね。」て言われてクソドキッとした。シチューのにおい全くしなかったから、「あ〜〜〜〜〜、そうですか〜。」としか言えなかった。右腕貸しながら、弱視の人がこの人混みの中一人で歩くの絶対無理じゃんと思った。

結構ぎゅうぎゅうの夕方の山手線で、隣に立っていたおじさんがiPad全画面表示でYouTubeを開いていた。見ていた動画は外国のいろんな土砂崩れを集めた映像。25分ぐらいあって、色んなパターンの土砂崩れが永遠繰り返される。え、楽しい?

高校生の時、ドラムとアンプがぎゅうぎゅうに置いてある三畳ぐらいの、音楽室の奥にある部屋に休み時間のたびに行っていた。250ワットのコンボタイプのベースアンプの上に座ってただ虚空を見つめて10分やり過ごすという尖りすぎた生活をひたすら毎日続けていたある日、一緒に虚空を見つめてくれる虚空友達、コクトモができた。4万円ぐらいの中途半端なダサいメーカーのテレキャスターでペラペラのピックでオクターブ奏法ばっかりやってるクソダサいやつだった。
3.11の時は熊本にいて、今は東京におる。
コクトモと一緒に高校を卒業して東京に出てきて四年が経ち、コクトモは橋本奈々未さんの事が好きすぎておかしくなってきている。

「高速道路のパーキングエリアでトイレから出てきてバスに戻ろうとしたら、後ろから女子が三人、ななみん・女子A・女子Bの三人ね。その三人が出てきて、そのうちの一人、女子Aが俺のこと好きで、小走りで近寄ってくるわけ。で、ななみんはその様子を遠くから見てるの。で、女子Aと話しながらバスに戻って、ななみんは女子Bとバスの一番後ろの席に座って、バスが走り出してしばらくしたらななみんから『さっきのあれ、何?』てLINEくるわけ。これ、どう?」

とか電話してくる。40分ぐらいこういう話を聞かされるけど、知らん。マジで知らん。
今までの人生で一度も女性に触った事ないこいつを俺は愛している。

美化するつもりは1ミリもない、ただ、弱視の人は今もどっか歩いてて、おじさんは今もどっかで土砂崩れに関する研究(そんな研究ある?)を発表してて、コクトモは今も橋本奈々未さんを思っている。

スーサイド・スクワッドをはやく観たい。