映画を創っている。それにあたり山崎ナオコーラさんの『この世は二人組ではできあがらない』を読んでいる。主人公は大学を卒業して本屋さんで週五でアルバイトを始める。

大学時代に本屋でバイトをしていた。顔がどことなく生駒里奈さんに似てる副店長は凄く静かな人で、一度だけ「山口くんジョジョの奇妙な冒険好き?」と聞かれたことがあった。全巻持っているので「好きですよ。全巻持ってます」と言ったら「そうなんだ。いいね」とだけ言って会話は終わった。店長は気の強い人でたまにお客さんと喧嘩したりしていた。店長と副店長は年齢が同じだった。店長は副店長にたまに強く当たることがあった。二人とも女性である。本屋の前にスーパーのバックヤードで血まみれの床を掃除するバイトをしていてなかなかのブラック具合だったので、本屋のバイトは心穏やかに過ごせて好きだった。ちょうどバカリズムさんのラジオを聴き始めた時で、架空○○日記のコーナーが楽しくて、主にバイトの休憩中に書いていた。閉店後には警備員さんが来る。鍵を渡して少し会話して家に帰り、洗濯物を干しながらバカリズムさんのラジオを聴いて、そのまま深夜の馬鹿力を聴いて寝る。副店長がある日突然やめると言った。結婚するからと言った。相手は警備員さんだった。鍵を渡すその数秒間の蓄積で警備員さんは副店長を落とした。知らない所でそういうことが起きていた。人知れず深まっていた感情の答え合わせタイムが好きになった。

引っ越しの時にフィルムの一眼レフが出てきた。昔ヤフオクで千円で落札したやつだった。要らなかったのであげた。みんなで喫茶店に行ったらその子は俺があげた一眼で写真を撮った。シャッターを切る音がマシンガンみたいに大きくて格好良く、「うわ、音かっこよ」と言った。その子にどんな感じに撮れるかを見せたくてそのカメラで撮った写真を探していたら謎の自撮りが出てきた。

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何の参考にもならないし意味が不明すぎるし怖いし最悪の写真だ。大学にはスウェットで行っていたし髪の毛も百円のハサミで自分で切っていた。即ち是れ地獄である。

 

日下部くんのiPhoneは画面がバキバキで、内部のジョブズの部分が剥き出しになっている。とうとう寿命が尽きたのか、画面が明滅しだしたので日下部くんは慌てて新しいiPhoneを買った。iCloudでバックアップを取ったのでその復元のためにWi-Fiを貸してほしいとうちに来た。Wi-Fiを求めて金の無いフリーターたちがうちによく集まってくる。オススメのアダルトサイトがあったので、それをどうしても見てほしかった俺はURLを送った。そして昔の画面がバキバキのiPhoneにぶっかけて精液をもってして完全に破壊することを提案した。二人で過呼吸なるぐらい笑った。そんなにおもしろくない。写真を撮った。おもしろい話が書けるといいな。