チキン南蛮暴力団

電気が消えた真っ暗の部屋で、闇と同化した黒猫ヤエちゃんが見えなかった俺は思いっきりヤエちゃんの下半身のもっちり部分あたりを踏んでしまい、猫の下半身のもっちり部分あたりを踏んだ時にしか出ない「ポエギョ」という、それ専用の音が鳴りヤエちゃんは逃げて行った。なんてことをしてしまったんだ、という思いからひたすら謝罪を繰り返すも右斜め上を見ているだけのヤエぴー。ごめん。男五人でヤエぴーを見守っていたが、五人中三人は猫アレルギーで、段々と呼吸が苦しくなってきた阿呆どもは一回外の空気を吸おうと外に出る。一番頭のおかしい友達が急に「ちょっと一回ゲロ吐くね」と言い、生垣の中にゲロを吐きだした。別に酔ってたわけでもないし、喉に指突っ込んだりとかもせず、無茶苦茶綺麗に嘔吐へとフェードイン。生垣が「朝か?」と勘違いするぐらいの量を吐いた彼は小さい声で「よし」と言い、笑いすぎてアスファルトの上でのたうち回っていた俺は東京の夜空がヤエぴーと同じ色だと知る。ふらふらとだいぶ長いこと歩いていたら駒沢公園に着いた。お酒が飲みたい、と言った日下部くんのために、NASA宇宙センターのジャンパー(お気に入り)を着た西上くんが内ポケットからウイスキーの瓶を出す。なんで持ってきてんだよ、と思ったのも束の間、「意外とぐびぐびいけるもんだ」とストレートで全て飲み干そうとする福岡男日下部を力づくで止め、ぐでぐでで世田谷線に乗り家に帰って風邪をPULL。

‪tinderで連絡先を交換した女の人と会ってみたらずっと「赤と青どっち?」「犬と猫は?」「春夏秋冬は?」と中森明菜ぐらいの声量で二時間程質問責めをされた。最終的に「私……透明の物体が好きで…試験管とか……ビーカーとか……普通に石とかも…………………………あの……あれわかる?………あの…ホテルのさ……鍵についてる………細長い透明のやつ…………あれさ…………………………………めっちゃ良くない?」と言われ、「めっちゃ良い。」と答えた。

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めっちゃ良いと思ったからだ。あなたの怖さとおもしろさのバランスもめっちゃ良い。下北沢の喫茶店で理性と狂気のバランス定食を一緒に食べて歩いて帰った。‬

‪十二月になった。‬
‪劇場版の『火花』を観た。俺は芸人じゃないけど、普段、おもしろいこと考えてください、はい考えましたこれおもしろいですか?みたいなことをしている。まだ何も成し遂げてないペラペラの引き延ばされた小麦粉だけど、この一年間で映画の脚本もコントの台本も両方書いた。体感的には泣かせるより笑わせる方が圧倒的に難しいし、とにかく重圧が重い。牛の牛肉的なことだ。そこに立ち向かい続けようとしてる俺も実は徳永だった。徳永や神谷みたいに純粋じゃないけど。夢破れて山河有り。焦らないと決めた。決めてたけど。できないことはできないと言う代わりにできることは「無茶得意です。俺にしかできないと思います。俺にやらせてもらえなかったら膝割っていいですか?」と言う。言わないにしても思う。京王線の匂いがパンパンに詰まった121分間のあと京王線に乗って帰った。‬
‪今は喫茶店でタバコを吸っています。今は喫茶店でタバコを吸っていて良いのだろうか。‬チョンウヒさんがずっとかわいいなぁ。

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