答え合わせタイムス

あんまり似合ってないな〜と思いながら今日も僕はスカジャンを着ています。背中に竜、前面にも竜、腕にも竜。女子高生の制服着たかったら制服店でもドンキでも行って買って着ればいいと思う。着るべきだ。幼稚園児ぐらいの時から外見と内面のズレで悩み続け、解決策も特に見つからず、とにかくどうしようもないから放置してクレヨンしんちゃん全巻読んだりしながら大人になった。就活で受けた会社全部落ちて、駅のホームで「6000円のスーツで挑んでる時点でなんかもう違うんだろうな、もう俺ずっと文字書いてよう」と思ってからフリーターになり、今は背中で竜が絡まっていてほどけない。スカジャンも金髪も似合っていないけど、内面と外見のズレを少し補正できた気がしている。千枚通しぐらい尖ってる部分とアルファゲル(持つところぶにゅぶにゅの一時期流行ったシャーペン)ぐらい柔らかい部分の共存をなんとか服装に表したい。
「ただでさえ冷たい人に見られるのに、その格好しだしたらもっと話しかけられなくなるね」と言われて安心した。アルファゲル(持つところぶにゅぶにゅの一時期流行ったシャーペン。多分ボールペンとかもある)は置いといても、千枚通しの部分を表すことができたことによってそれが他人から見られる時のフックになる。
定期的に坂口安吾の『堕落論』を読んで、「そうだよな〜」という独り言をワンルームの壁紙に吸収させていますが、もちろん堕ち切るのも難しいし怖い。ずーっと全部の真ん中にいる。でもこのコンプレックスも意外と普遍的だし超つまらないしもうこれ以上付き合うのは時間の無駄なんでしょう。

母親から「『オーバー・フェンス』が良かった」という号泣電話がかかってきた。地面が揺れても山が噴火しても映画を楽しむ感覚は死なないぜマザファカ👎👎👎
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毎日バイト先の喫煙所で大森靖子さんの『子供じゃないもん17』を一曲リピートの音量マックスで聴きながらタバコを吸い、外を歩く人を見ながらぼーっとしている。教科書みたいなこと聞きたいんじゃないのよ。
髪の毛を金色にした。屈折して深く入り組みすぎてもう解きほぐすことができなくなった感情たちがいつの間にか行き場の無くなった痛烈な変身願望になっていた。じゃあ死ねよ、とか思うけどそれは全然違うのはまだわかるから大丈夫。友達とレンタカーに乗ってスカジャンを買うために横須賀に行く。竜とか虎とか風神とか雷神とか。意味がわからない。竜とか虎とか風神とか雷神とかのどこがかっこいいんだろう。全然かっこいいと思ってないものを自分に取り入れようとしている、取り入れなければならない、取り入れることをどうしても止められない、という経験・感覚が初めてだから最近ずっと戸惑っている。スクール水着が好きすぎる変態が最終的に自分でスクール水着を着だすのとなんか似てる気がする。お前がそれ着ても意味ないじゃん、っていう。一緒にスカジャンを買いに行ってくれる友達は「病気やん」と言いながら笑ってくれてる。おもしろいんだったらなんでもいいよ、と思う。



最近聞いた「卒業式サボって『愛、アムール』観に行ったら親に怒られたよ」っていう話がなんか忘れられない。キアロスタミが死んだ時もみんなで「キアロスタミ死んだね〜」て話をして、そういう話ができる人たちがいて良かった。よく行く喫茶店の店員さんたちは全員やる気がなくてかわいくて、基本的にいつもiPhoneをいじってて最高。ライクサムワンインラブ聴きながら店員さんたちを観察していたら、一番お気に入りの店員さんが凄い勢いで反復横跳びしだしたので急いでイヤホンを外した。高速で反復横跳びしながら「横移動が凄いんだよ!横移動がこんな速い!」て言ってて「なんの話してたんだろ」と思った。

一年振りぐらいの嘔吐。十七歳の時から年に一回のペースで律儀におゲロの方を吐かさせて頂いていますが、原因は不明、血を抜いて顕微鏡で覗いたりお腹にベトベトの汁塗って超音波飛ばしたりレントゲンプリクラ感覚で撮りまくってもお医者さんは「ストレス的な?なんかそういう不安的な?なんか多分そういうアレのやつ?かもしれないし、そうじゃないかもしれないね、医学の進歩ってイカすよね」と、濁す濁す。聴診器のLとR逆にしたろかいほんまに。

友達と終電で渋谷に行き、鳥貴族で鳥の貴族になり、そんなに煙草慣れしてないくせにアルコール入ると吸いたい欲に拍車がかかり一瞬でハイライト一箱を空け、何事も経験なので若干ビビりながらも水煙草を吸入に行くと甘い香りに誘われて親の仇みたいにガバガバガバガバ吸いまくり、またみんなで餃子を食べ、完全に堕落モードにスイッチ入っていたのでタクシーに乗り込んだらこの運転手さんがベタ・ブミ夫(べた・ぶみお)で時速80キロと時速0ミリメートルの二択。家につく頃には「おうぷおうぷ」言い出して玄関の鍵開けてトイレにダッシュして全てを無に還した、という感じでつらかった。点滴打って寝てる時が一番気持ち良い。命削りすぎ。阿呆です。


映写室にはバナナムーンリスナー、馬鹿力リスナー、メガネびいきリスナー、そして僕、という四人がいて、ラジオの話をしながらスクリーンに映像をこれでもか!とこびりつかせている。日村さんが炭酸水吐く映像見ながら一緒に笑ったり。

「2020年には東京でオリンピックがあるけど、それまでにはどうにかしていたいね」とよく話す。どうにかしたい、て、どうにかなったことなんかないんだけど、棒と糸を駆使して作った装置の先に人参ぶらさげられた馬みたいにもう何年も全力疾走している、このままの計算でいくと、2020年までにあと三回か四回吐く予定だ。非常にめんどくさいです。助けてください。


極東セレナーデおもしろい。オススメです。もうなんか江口寿史さんの絵のことはどう足掻いても嫌いになれないというか、嫌いになる必要なんか全くないんだけど、特に男で江口寿史さんの絵を見ても何とも思わない人は正直変だと思います!!!ごめん言い過ぎた!!!でも俺たちの全部だしそこに抗うの無理じゃないですか。

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あの子の考えることは変

とうとうタバコを吸い始めた。二十三歳から吸い始めるやつ一番変。一番怖い。

地震に体力を持ってかれた母親が休憩のために東京に遊びに来た。その割に昼の2時のゴリラぐらい元気で、やたらと色々なところに連れ回される。「前髪が真っ直ぐで元気無い男はモテんに決まっとる!!!」て大音量で言われて、「そりゃそうだ」と思った。

「モテない」という現象が持ってる苦しみのパワーは意外と大きくて、負けるのが怖すぎて今まで色んな勝負から率先的に逃げてきた自分は、最近になってようやくちょっと勝負してみたら案の定ボコのボコにされて、「クソ強いじゃん……」となって、この年齢にしてやっとその「負」のパワーに圧倒されている。別に落ち込んでいるとかじゃなくて、ただただ「なにこいつ……」となっている。エアーズロックとか見た時と同じ感じでしょうね。「なにこのデカイ岩……」。

もうこういう文章を書いている時点で脳のなんらかの回路がぶっこわれているのは明白で、完全に降参、柔軟剤をたっぷり使った白旗が掲げられとる。本当に毎日誰とも喋らなかった大学時代、その孤独と引き換えに、「ファック!」と書いたメールを病的なまでに送りつけていた俺とはもうオサラバだ。死ぬんだクソユニバーシティー。次の段階、次の段階、と念じながら、古着屋でかわいいクマちゃんがプリントされたむっちゃ高いトレーナーを買ったりして、「大丈夫か?」と思ったりする毎日、ブルーハーツにハマったり、ラップにハマったり、タバコ吸いだしたり、次はピアスを開けて金髪にしようとしている(本当に)。どうしたどうしたどう……え、急に…。ネバーエンディングフォーティーン。多分死ぬまで思春期。キモい。

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summer,2016

新米映写技師になる。嬉しい。35mmフィルムを上映してみたい。映写室にはロマンがぱんぱんに詰まっていて、映画の神様たちが朝の遅延した時の中央線ぐらいぎゅうぎゅうに居る。駅員さんが押してる。そこに失礼しゃす、という感じだから、脚本を書いている自分にとっては映画の神様たちに四方八方から監視されているこの状態では嘘がつけない最高の環境、楽しみ。愛されたい。映写の人はみんなタバコ吸うから僕もタバコを吸ってみたい。でも二十三歳から吸い始めるの変だ。一番変だ。あとあいつ一箱で文庫本一冊買えるのおかしい。そのシーソーも変だ。保留。



シネマイレージカードを作る時、本人確認のためにスタッフさんが「お名前フルネームでお願い致します」と言ってきた。個人情報を他のお客さんに聞かれたらダメだからていう部分まで気遣ってくれてて、「耳打ちしてね」的な動作をされて、自分のフルネームを耳打ちしたけど、自分の名前を耳打ちするという行為が途端にドスケベすぎるものに思えてあたふたした。『ペット』は良い映画だった。

人が野良猫を蹴った時、「うわ!好きだ!」と思ってしまう。でもそれは野良猫を蹴ったから好きなのか、もともと好きな人が野良猫を蹴ったからそれが「好き」を自覚するスイッチになっただけなのか、自分でもわからない。でも両者で意味が全然違う。「野良猫を蹴るんだったら誰でも好きになるのか」て聞かれたら多分違うし、こんな具体的なシチュエーションにも関わらず系統立てて考えることができないのが凄い。何がどうなっとるんや。六畳一間の部屋で友達と眠らずに正解がない問題についてずっとグダグダと話をして、お酒も若干抜けてきて、でも明日も朝からバイトで、みたいな状態のことを「沼」と呼んでいる。沼にハマる快感は、自意識を破壊している自意識というか、ちいちゃい反抗というか、小規模ながらに命を粗末に扱う美学、でも小規模であることにも自覚的だから、「だせえな」て責めてくる自意識もおるし、それも込みで「沼」。何かを渇望してるんだけどそれが一体なんなのかわからないまま、あの人が野良猫蹴るの見たいんだけど、とか話す。俺たちはいつだってあの人が野良猫蹴るのが見たい。
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立つ鳥跡の濁し方アーティスティック

ジョン・ライドンとか町田さんとかヒロトはまず自分に対してパンクだな、何よりも先にまず自分を破壊しているからああいうユートピアを創造できるんじゃないのだろうか」と十四の夏に考えとけよ、な事を二十三の夏にぼーっと思って、ほぼ二徹して友達と明大前でお酒を飲んだ。自分に対する破壊行動が「四十八時間寝ない」という時点でもう間違っているし、実際はただ寝つけなかっただけだし、結局ウーロン茶ばっか飲んでたし、相変わらず反吐です。



他人が本心言う瞬間って脳が瞬時に理解するというか、「あ、この人今から本当に思ってること言うな」とか「自分にとって核心突いてること言ってくるな」とか、割とすぐわかる。多分デフォルトで人間はそもそも洞察力が高めに設定されている。
ファミレスであんみつ食ってたら、「中学の時の話なんだけど……」て話の切り出し方をされて、その言い方とか視線で「あ。来る。」と思った。
露骨に、便器に顔突っ込まされるみたいなイジメを受けてた女の子が同じクラスにいて、イジメる側には主犯格のギャルがいて、その主犯格のギャルと付き合って、イジメやめさせて、でもイジメ受けてた女の子が不登校になっちゃったから謝りに行かせたらイジメられてた女の子学校来るようになって、その瞬間そのギャル振った。っていう話をファミレス特有の尖りまくった機械的な甘さのあんみつ食いながら聞いていた。セミが爆音で鳴いていた。
その話を聞いて僕は凄い嬉しかったというか、こういう話をしたあとに「え、だから何?」みたいな事言う人いたら凄い嫌だなと思った。
「凄いですね……」て言った。なんか本当に凄いと思ったから。結局ペラいリアクションになってしまったけど、嘘くさくなってなかったらいいな、という祈りを込めて。なんか本当に凄いと思ったから。「え、だから何?」って聞いてくる人たちの方がなんにも知らないよな、と思った。人生の機微を言語化する事を諦めてるくせに結果を求めないでほしい。オチのない話したっていいじゃん。多分もうつまんないよそういうの。



寝つきが悪い。真っ暗の部屋で瞳をとじて君を描くよそれだけでいいたとえ季節が僕の心を置き去りにしても全然眠れない。ああ、平井堅はこの事を言ってたんだな、と感心した。
今はもう五時だけど、いつ寝るんだろう。
ノラ・ジョーンズの新しいアルバムが楽しみだけど、また武道館でライブをやってほしかった。前のアルバムから四年待ったから、次日本でライブやるとしたら早くてもまた四年後ぐらいでしょう、そしたら八年待つことになる。その時には二十七歳だから死んでいるかもしれない。
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インロウタキンは昔からあって実は良くないが頭の上

季節の変わり目だからブタみたいなフケが止まらない。
哲学おもしろ批評おじさんこと小林秀雄の全集がブックオフでセール棚みたいなところで売られてたから「めずらし」と思って買った。おもしろい。小林秀雄 a.k.a 哲学おもしろ批評おじさん

よく行く純喫茶に、丸メガネかけた赤いショートカットの背高い美しいお姉さんがいて、その人はメシ作り専門っぽい感じだからお会計の時にしか近付くことができない。そもそも人と目を合わすことがだいぶ苦手で、しかも女の人となると未だに気絶しそうになりますが、なんかそういうの単純に勿体無いわよと思って、お会計の度にずーーーっと至近距離で見つめまくっている。最悪人間。ゴミ。失礼。至近距離で見つめて「綺麗だ〜〜〜」て思って家帰る。家帰って寝てる。最悪人間。ゴミ。失礼。



『考えるヒント』『ポトスライムの舟』『桜の森の満開の下』『予告された殺人の記録』を読んだ。読みながら頭ポリポリ掻いて紙の溝にブタみたいなフケを植えつけていった。DNAの標本。自分の両親も、設楽さんも、二十六歳で結婚している。もうすぐ二十三歳になる。三年後に結婚できるわけがない、と思っている。夕方になると忍たま乱太郎見たくなるし、ポケモングリーンバージョンたまにやっちゃうし、いい感じに手にフィットしそうな長めの棒落ちてたら持って帰りたくなるし、「誰が一番ゆっくり家まで帰れるかバトルやろうぜ」て言って “誰が一番ゆっくり家まで帰れるかバトル” を開催しようとするし、氷結で泥酔しちゃうし、ATMには6000円も入っていない。



あの中産階級のガキどもをぶちのめすために東京に来て、五年が経ちそうで、就活には全部失敗したけど友達はできた。やりたいことも明確にある。むしろ就職しなくて良かったと思えている。もともと最悪人間として産まれてきたんだから、クズんなってGO、やりたいことやるべきだ、とかありきたりなこと言ってしまうぐらい実は色んなことはシンプルに構造されているのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それ当たり前。逃げんな。殴るぞ。
色んな人と、スーサイド・スクワッド観ようね、という約束を交わしすぎてスーサイド・スクワッドの多重債務者になっている。ストップ、映画泥棒。どぼろう。